顎関節症

顎関節症とは?

顎関節は頭の骨(側頭骨)のくぼみ(下顎窩)に下あごの上先端の骨(下顎頭)が入り込む構造で、その間にクッションの役割をする関節円板という組織が挟み込まれています。関節円板は下顎頭の外側と内側にしっかりと付着していますが、前後方向の付着が緩いため大きな力が持続的に顎関節に加わると、関節円板にズレ(転位)の生じることがあります。このズレの92%は前方で、8%が内外の側方、ごくまれに後方にも生じます。
また、閉口時に関節円板にズレがあっても最大開口時にはこのズレが戻る場合と、戻らない場合とがあります。戻る場合には開口時と閉口時に「カックン」と関節音がします。また、戻らない場合には急性期には「口が開けられない」、「口を開けると耳の前がとても痛い」などの症状がみられます。

 

顎関節症の代表的な症状

顎関節症の代表的な症状は「あごが痛む(顎関節痛)」、「口が開かない(開口障害)」、「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」の3つで、このうち一つ以上の症状があり鑑別診断で他の疾患がない病態を「顎関節症」といいます。

 

保存治療が一般的

多くは保存的治療で対処しますが、症状によっては外科的な治療を行う場合もあります。
通常は鎮痛剤の規則的な服用で、関節内の炎症を鎮めるとともに、スプリント(画像)といわれるプラスチックの板を歯列全体にかぶせ、噛みしめ時の顎関節の負担を軽くする治療が一般的です。また、咀嚼筋に緊張を伴う場合には、筋弛緩薬を服用し筋肉の緊張を和らげたりします。
これで痛みが軽快しないときは関節の中(関節腔内)に局所麻酔をして、徒手的にズレた関節円板を治したりまた炎症がひどいときは、点滴注射で関節の中を洗い潤滑剤を注入することもあります。